
就学相談を前に療育手帳って取った方が良いのかな?



取ってから後悔したくないから、慎重になってしまう……
本記事では、上記のようにお悩みの方に向け、療育手帳を取得するメリット・デメリットを解説していきます。
- 療育手帳を取得するメリット・デメリット
- 療育手帳を取得する流れ
小学校入学や就学相談を控え「療育手帳って取った方がいいの?」「どんなメリットがあるの?」と悩む方も多いのではないでしょうか。
私も子供のうちは療育手帳を取得しなくても良いかなと思っていましたが、就学相談のタイミングで息子の療育手帳を申請しました。
取得してからは施設の割引や障害者控除を適用できるなど、様々なメリットを実感しています。
本記事では、過去の私と同じように悩む方に向け、療育手帳を取得して感じたメリット・デメリットを紹介します。
就学相談の流れは「【体験談】就学相談はいつからいつまで?流れやスケジュールを紹介」でも紹介しているので、よろしければ併せてお読みください。


療育手帳(愛の手帳)とは
療育手帳(愛の手帳)とは、知的障害のある方がさまざまな支援やサービスを受けるために必要な手帳です。
各自治体が発行しており、障害の程度によって「A(重度)」や「B(中軽度)」などの等級が決まります。



東京都では療育手帳ではなく「愛の手帳」という名称で発行されます
療育手帳を取得すれば、福祉サービスや税制優遇、交通機関や施設の割引など、幅広い支援を受けることが可能です。


療育手帳を取得してわかった3つのメリット
息子は軽度知的障害であり、年長のタイミングで療育手帳を取得しました。
療育手帳を取得して感じたメリットは、主に以下の通りです。
- 就学相談で進路の希望が通りやすくなる
- 駐車場や施設入場料の割引を適用できる
- 年末調整・確定申告で障害者控除を適用できる
- 放デイの更新時に必要書類が少なくて済む
それぞれ詳しく解説していきます。
就学相談で進路の希望が通りやすくなる
最も大きなメリットのひとつは、就学相談で「親の希望」が通りやすくなったことです。
療育手帳があると、知的障害の有無や程度が公的に証明された状態になるため、支援学級や特別支援学校への入学希望が通りやすくなります。



息子も療育手帳と既往歴、医師の所見で特別支援学校に入学できました
駐車場や施設入場料の割引を適用できる
療育手帳を持っていると、公共施設やテーマパーク、美術館などで「本人+介助者1名無料」や「割引料金」などの優待を受けられることがあります。
他にも、駐車料金の割引を適用できることも多く家族でお出かけをしやすくなりました。



動物園や水族館、地域の大きな公園などに足を運びやすくなり、家族全員で恩恵を受けています
療育手帳を取得した後は、家族などで出かける際に障害者割引が適用されるのか確認しておくと良いでしょう。
これまでの経験で、最も割引額が大きくお得!と思ったのはサンシャイン水族館です。
「息子+介助者1名(大人)」の分が割引となり、数千円ほどお得に入場できました。
映画館でも介助者まで割引料金が適用されるので、今後も気軽に見に行きたいと考えています!


年末調整・確定申告で障害者控除を適用できる
療育手帳を取得していると、年末調整や確定申告で「障害者控除」を受けられます。
控除額は、一般障害者で27万円、特別障害者で40万円(令和6年度時点)とされており、扶養している家族に対しても適用可能です。
16歳未満の子供は扶養控除の対象外ですが、療育手帳があれば子供であっても障害者控除を適用できます!
医療費控除と異なり年末調整で対応できるので、確定申告の手間もかからずありがたいです


放デイの更新時に必要書類が少なくて済む
放課後等デイサービス(放デイ)を継続利用するには、原則として毎年更新が必要ですが、療育手帳を取得していると必要書類が少なくて済みます。
療育手帳を取得していないと、福祉支援を利用すべき理由を細かく記載しなければならず非常に大変です。



息子が児発に通っていたときは療育手帳を取得していなかったため、書類作成が非常に大変でした
療育手帳を取得してデメリットを感じたことはない
「療育手帳を取得してデメリットがあったらどうしよう……」と不安があったのですが、実際にはデメリットはありませんでした。
- 療育手帳を取得していることは周囲にバレない
- 障害者割引を適用するときにも手帳を見せるだけですぐに手続きが完了する
- 子供が年齢相当に発達すれば療育手帳を返還できる



使わなくなったら返還すればいいと考えると、気軽に取得しやすくなるはずです
療育手帳を取得する流れ
療育手帳の取得は自治体によって細かな違いはあるものの、基本的な流れは共通しており、下記の通りです。
- 自治体窓口に問い合わせる
- 医療機関・児童相談所で判定を受ける
- 必要書類を提出する
- 療育手帳の交付を受ける
それぞれ詳しく解説していきます。
自治体窓口に問い合わせる
まずは、お住まいの市区町村の福祉課や障害福祉課に「療育手帳を取りたいのですが」と問い合わせをしましょう。
自治体によっては、公式Webサイトで丁寧に解説している自治体もあります。



私が住んでいる自治体ではWebサイトが非常に見にくかったので、直接問い合わせをしました
医療機関・児童相談所で判定を受ける
療育手帳を交付してもらうには、子供の知的発達に関する客観的な評価が必要です。
自治体の案内に従って、指定された医療機関または児童相談所などで知能検査を受ける必要があります。
息子の場合、大学病院の小児神経科に診てもらっていたので、そちらで検査を受け医師に所見を書いてもらいました。
必要書類を提出する
医師の所見(診断書)や知能検査の結果を受け取ったら、他の必要書類と一緒に自治体に提出しましょう。
必要書類は自治体によっても異なりますが、主に以下のものが必要となります。
- 申請書(窓口やWebサイトで入手)
- 判定結果の写し(または診断書)
- 子供の顔写真(縦4cm×横3cmなど規定あり)
子供の特性によっては、顔写真を撮影するのが難しいかもしれません……。
我が家では、自宅の白い壁をバックにしてスマホで撮影し「証明写真アプリ」などのアプリを使用して、コンビニプリントしています。



息子は不安感が強いので、駅などにあるような証明写真機にて撮影するのは無理です……
療育手帳の交付を受ける
申請後、手帳の交付までは1〜2か月程度かかるのが一般的です。
我が家では、必要書類の提出から交付まで、以下のように進みました。
- 必要書類を提出する
- 必要書類が届いたことを自治体の担当者から連絡を受ける
- 提出書類が医師による所見だったため自治体の審査を受ける
- 審査が通り療育手帳が交付されることを自治体の担当者から連絡を受ける
- 療育手帳が郵送で届く
我が家の場合は1ヶ月強ほどで療育手帳が届きました。
なお「就学相談で使用したい」など療育手帳を提出しなければならないときには、手帳の番号を教えてもらったり、仮の手帳を発行したりも可能と説明されました。
また、私が住んでいる自治体では療育手帳の発行を担当している部署が障害福祉課ではなかったため、手帳取得後に受けられる支援については福祉課に相談するように言われました。



たらい回し感はありましたが、丁寧に対応してもらいました!
療育手帳を取得する際によくある質問
最後に、療育手帳を取得する際によくある質問を回答と共に紹介していきます。
- 療育手帳は更新が必要?
-
療育手帳は取得後に定期的に更新しなければなりません。
更新時期は自治体によって異なりますが、小学校入学・中学校入学・18歳時点などで更新となる自治体がほとんどです。
- 療育手帳を持っていると周りにバレる?
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日常生活で「療育手帳を持っていることがバレる」ことはまずありません。
手帳を提示するのは、あくまで支援制度や割引を利用するときに限られているからです。
息子が通う学校では、遠足や社会科見学の際に割引を適用するため、療育手帳のコピーがあれば提出するように言われました。
- 療育手帳は返還できる?
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療育手帳は必要がなくなったときに返還可能です。
成長とともに知的発達が進み、診断基準を満たさなくなった場合などには、更新の際に「返還の案内」をもらうこともあります。
- 就学相談は療育手帳がないと受けられない?
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療育手帳がなくても就学相談は受けられます。
実際、就学相談の対象は「発達に気がかりのある子供」であり、正式な診断や手帳の有無に関かかわらず申し込みが可能です。
ただし、療育手帳があると「知的障害があることが明確に伝えやすくなる」「親の希望が通りやすくなる」といったメリットがあります。
- 特定児童扶養手当は療育手帳があればもらえる?
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療育手帳の等級がA・Bの場合、一定の条件を満たすことで特別児童扶養手当を受け取れる可能性があります。
ただし、手帳の有無だけで決まるわけではなく、障害の程度や日常生活の状況などを総合的に判断されます。
- 療育手帳がなくても児発や放デイは利用できる?
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療育手帳がなくても「児童発達支援(未就学)」「放課後等デイサービス(小学生以降)」を利用できます。
児発や放デイを利用するためには、療育手帳ではなく、受給者証の資格が必要であり別途手続きをしなければなりません。
【まとめ】我が家は療育手帳を取得してよかったです
療育手帳を取得するまでは、不安な気持ちや取ったら後戻りできない感覚がありました。
しかし実際には、療育手帳は「持っているから不利になる」というものではなく、「必要な支援を受けやすくするためのパスポート」のような存在だと感じました。
就学相談の際には息子の特性や発達の遅れを証明するものとして役立ちましたし、所得税・住民税の控除や施設の割引などといった支援も受けられます。
息子の場合、中学入学までは療育手帳の更新が不要なので、これからも息子の成長を見守りつつ療育手帳の恩恵を受けたいなと思っています。



ここまで読んでいただき、ありがとうございました!
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