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2023年でジュニアNISAが終了すると知りました。障害のある子の資産形成に利用すべきですか?
結論から言うと家庭で3,600万円以上投資に回せるお金があるなら、利用を検討しても良いでしょう
本記事では、障害児にジュニアNISAは必要なのか、新NISAで十分な理由を解説します。
ジュニアNISAとは年間80万円まで株式や投資信託の売却益や受取配当金が非課税になる制度です。
「ジュニア」と名前がついているように、0歳から17歳までの子供がジュニアNISA口座を開設できます。
ジュニアNISAは2023年12月31日で新規買い付けが停止になります。
そのため、「今年中に利用すべき?」と悩んでいる人も多いのではないでしょうか。
本記事では、障害のある子にお金を遺すためジュニアNISAを利用すべきかを解説します。
また、2024年からは投資の非課税制度として新NISAの運用が始まります。
新NISAについては、下記の記事で詳しく解説しているので、あわせてお読みください。
- 世帯の総資産は1,600万円以上
- 新NISAを夫婦で満額埋められるよう努力中
- 8歳娘・5歳息子を育児中
- FP2級・Webライター歴8年
- ジュニアNISAとは何か
- 2024年以降のジュニアNISAの取扱い
- 障害児はジュニアNISA口座を開設すべきか
ジュニアNISAとは
ジュニアNISAとは、年間80万円の非課税枠で購入した株式や投資信託の売却益、受取配当金が非課税になる制度です。
未成年者が自分のお金を運用するのではなく、祖父母から孫、両親から子供へ贈与を行い、そのお金をジュニアNISA口座で運用することを想定して作られた制度です。
なお、ジュニアNISAは2023年12月31日で投資可能期間が終了します。
ジュニアNISAは2023年末で終了
2024年1月1日から新NISAが適用されることにより、ジュニアNISAの制度は2023年12月31日で終了します。
制度終了により2024年以降は、下記の手続きができなくなります。
- ジュニアNISA口座の新規開設
- ジュニアNISAを利用した新規買い付け
非課税制度が終了するのは残念ですが、一方で2024年以降はジュニアNISA口座の払い出しに制限がなくなります。
2023年12月31日まではジュニアNISA口座から引き出すには、下記の制限がありました。
- 3月31日時点で18歳である年以降
- 災害などやむを得ない事情がある場合
2024年以降は任意のタイミングでジュニアNISA口座から引き出せるので、2023年中に口座を開設し非課税枠を利用すれば、子供が18歳になるときまで非課税で運用できます。
引き出し年齢に制限がなくなったため、障害児でも利用しやすくなったのはメリットです
2024年以降は子供が18歳になる年まで非課税で運用できる
ジュニアNISAの非課税期間は最長5年間でしたが、2024年以降は新規買い付けが終了する代わりに非課税期間が子供が18歳になる年まで延長されます。
2024年以降のジュニアNISAの取扱いは、下記の通りです。
- 本来の非課税期間(5年間)が終了すると継続管理勘定に移管される
- 継続管理勘定では口座名義人が18歳になるまで非課税で保有できる
- 継続管理勘定では新規買い付けはできない
非課税期間が5年間から「子供が18歳になる年まで」となったため、子供の年齢が幼い場合は長期的な成長が予想される株を購入しておき、利益をまるまる非課税で受け取る戦略も立てられます。
障害のある子は成人になると親が資産管理を行いにくくなるため、ジュニアNISAを利用する場合は放置し続けないように注意が必要です。
障害児がジュニアNISAを利用するメリット
2024年以降は成人前でもジュニアNISA口座に預けた資金を現金化できます。
そのため、成人後の資産管理が難しい障害児でも、ジュニアNISAを利用しやすいともいえるでしょう。
障害児がジュニアNISAを利用するメリットは、主に下記の2つです。
- 売却益や受取配当金が非課税になる
- 成人になる前にジュニアNISAの資金を現金化できる
それぞれ詳しく解説していきます。
売却益や受取配当金が非課税になる
ジュニアNISA口座で購入した株式や投資信託は、売却益や受取配当金が非課税になります。
なお、課税口座では売却益や配当金に対して20.315%の税金がかかります。
例えば、購入した株が10万円値上がりしたとしても課税口座では約2万円も税金として取られる計算です。
少しでも資産を増やしたいと考えたとき、ジュニアNISAの非課税枠は確かにメリットであるといえるでしょう。
成人になる前にジュニアNISAの資金を現金化できる
2024年以降はジュニアNISAの資金を子供の年齢にかかわらず引き出せるようになります。
障害のある子が成人すると親であっても資産の引き出しや管理が難しくなるため、2024年以降は任意のタイミングでジュニアNISAを現金化できるのはメリットです。
例えば、発達障害の子供が私立受験するための学費や費用をジュニアNISAで貯めるなどの活用も可能です。
障害児がジュニアNISAを利用するデメリット
ジュニアNISAはメリットがあるものの障害のある子の資産を増やすリスクを負うべきか疑問は残ります。
ジュニアNISA口座を開設するのであれば、下記のデメリットも考慮しましょう。
- 成人までジュニアNISAを放置してしまうリスクがある
- 障害者は税金面での優遇が多い
- 2024年に開始される新NISAの方が非課税期間が長い
それぞれ詳しく解説していきます。
成人までジュニアNISAを放置してしまうリスクがある
2024年以降、ジュニアNISA口座での非課税期間が終了すると「継続管理勘定」に移管されます。
非課税期間が5年から子供が18歳になるまでに延長されたことはメリットですが、成人前にジュニアNISAの資金を引き出すのを忘れないように注意が必要です。
ジュニアNISA口座を開設している人が成人すると、保有株式や投資信託は自動的に課税口座に移管されます。
成年後見人は柔軟な財産管理や積極的な資産運用は行えないため、課税口座の資産を思うように運用できない可能性が高いでしょう。
また、障害児が成人するにあたり行うことは山積みであり、下記の手続きなどが必要です。
- 障害者手帳の更新
- 就労支援の手続き
- 子供の将来の住まいや生活の準備
上記に加えて、ジュニアNISAの払い出しやその後の資産管理方法まで検討するのは大変であり、利益以上のデメリットが大きいと感じる人もいるでしょう。
障害者は税金面での優遇が多い
ジュニアNISAは親や祖父母から子供や孫に対しての贈与を促進する、贈与財産を運用することを目的とした制度です。
ジュニアNISAの非課税枠が年間80万円なのも、贈与税の基礎控除額110万円以内に収まるように設計されているのだと思います
確かにジュニアNISAは魅力的な制度ですが、下記のように障害児や障害者はジュニアNISA以外にも税金面で優遇されています。
控除・特例 | 概要 |
---|---|
所得税の障害者控除 | 障害者自身の所得から27万円もしくは40万円を控除できる |
相続税の障害者控除 | 相続人に障害者がいるとき、(85-年齢)×10万円もしくは20万円を相続税額から控除できる |
心身障害者扶養共済制度の給付金の非課税 | 心身障害者扶養共済制度にて支給される給付金(一時金)は非課税になる |
特定障害者に対する贈与税の非課税 | 特定障害者の生活費に充てるなどの目的で信託契約を結ぶ際に3,000万円もしくは6,000万円まで贈与税が非課税になる |
少額貯蓄の利子等の非課税 (マル優) | 一定の手続きをすれば、障害者が預け入れる預貯金の利子が350万円まで非課税になる |
障害年金の非課税 | 障害年金には税金がかからない |
例えば、特別障害者もしくは精神障害者は「特定障害者に対する贈与税の非課税」を利用でき、所定の手続きや信託契約を結べば3,000万円まで贈与税が非課税になります。
「特定障害者に対する贈与税の非課税」や「相続税の障害者控除」など障害者に財産を受け継ぐ際には、非課税制度が設けられているので、わざわざジュニアNISAを利用する必要性は薄いでしょう。
2024年に開始される新NISAの方が非課税期間が長い
ジュニアNISAは2023年12月31日に終了し新規買い付けができなくなりますが、2024年からは新NISAが開始します。
ジュニアNISAよりも新NISAの方が使い勝手が良く節税効果も大きいので、わざわざ子供名義で口座開設してジュニアNISAに資金を入れる必要もないでしょう。
夫婦の新NISAの非課税枠3,600万円を余裕で使い切ってしまう人のみ、ジュニアNISAの利用を検討すべきです
【結論】3,600万円以上を投資に回せるならジュニアNISAを検討
結局、ジュニアNISAは利用すべき?
親が3,600万円以上投資に回せる場合だけ、ジュニアNISAの利用を検討しましょう
2024年以降はジュニアNISAの払い出し年齢に制限がなくなるため、障害のある子でもジュニアNISAを利用しやすくなったといえます。
とはいえ、2024年以降は非課税枠が1,800万円も用意されている新NISAが開始されるので、ジュニアNISAまで行わなくて良いとも考えられます。
結局のところ、障害児家庭はジュニアNISAを利用すべきか考えてみました。
成人前に引き出す前提なら利用はできる
2024年以降かつ障害のある子が成人する前に払い出しをするのであれば、ジュニアNISAの利用は可能です。
ただし、ジュニアNISA口座の残高によっては子供から親に贈与をしたと判断される恐れもあるので、すべてのケースでおすすめはできません。
障害児が成人後は資産管理が難しくなる
さらに、障害のある子が成人するまでジュニアNISAを利用してしまうと、その後は資産管理が難しくなります。
- 親権者として親が子供のかわりに資産管理できない
- 障害のある子の資産管理には成年後見人が必要な場合がある
- 知的障害や精神障害のある子は証券口座の開設や取引ができない可能性がある
- 障害者本人の資産が多いと、グループホーム入居を断られるリスクがある
上記の理由から成人した障害者が所有する資産は少なめ、かつ管理しやすい預貯金のみなどにしておくのが良いでしょう。
新NISAは夫婦で3,600万円まで非課税で運用できる
ジュニアNISAは2023年までで新規買い付けが終了しますが、2024年以降は新NISAの制度が開始されます。
新NISAの特徴は、下記の通りです。
- 非課税期間は無期限(死亡するまで)
- 非課税枠は1,800万円
- 非課税枠は再利用可能
非課税枠は1人あたりなので夫婦であれば「1,800万円×2人=3,600万円」まで利用可能です。
新NISAの非課税枠が大きいため、2023年中にジュニアNISAの80万円を本当に利用すべきか各家庭で検討すべきです。
- 夫婦で3,600万円運用できる上にさらに余裕がある
→ジュニアNISAでの買い付けも検討 - 夫婦で3,600万円運用でき、目標投資額に達成する予定
→ジュニアNISAを利用せず、新NISAのみ活用でOK - 夫婦で3,600万円運用できそうにない
→ジュニアNISAを利用せず、2024年以降に新NISAの非課税枠を埋めることを意識する
現行の年金制度や福祉制度が維持される前提ではありますが、2024年以降は大半の家庭が新NISAをフル活用すれば老後資金を確保できます。
そのため、焦ってジュニアNISAで投資して将来的に障害者の資産管理方法に悩むより、まずは新NISAを利用して親の資産を増やしておくのが大切です。
我が家もせっせと貯めて来年に備えています!
障害児家庭で新NISAを利用すべき理由は「【FP解説】障害者育児中の親に新NISAで運用をおすすめする理由」の記事で詳しく紹介しています。
ジュニアNISAに関するよくある質問
最後に、ジュニアNISAについてのよくある質問を回答と共に紹介していきます。
- ジュニアNISAはなくなるのですか?
- 2024年から新NISAが始まるため、ジュニアNISAは2023年末で廃止となりました。
- ジュニアNISAは2024年以降売却できる?
- ジュニアNISA自体は2023年末に終了しましたが、ジュニアNISAで保有している株式は2024年以降も売却可能です。
ただし、売却代金の一部出金や移管は行えません。
また、2024年以降は子供が18歳になるまでは非課税で運用を続けられます。
【まとめ】ジュニアNISAは焦って活用しなくてOK
「制度が2023年で終了!」と言われると焦ってしまいますが、2024年から始まる新NISAはジュニアNISA以上に非課税効果が大きいです。
そのため、焦ってジュニアNISAで運用しなくても2024年以降に新NISAで運用を始めれば十分な可能性が高いです。
障害のある子の場合、資産の遺し方や成人後の資産管理について予想がつかない場合も多いため、まずは親自身の資産を増やすことを意識しましょう。
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